あと1日、H15刑訴

 

 

 

 強制加入団体

実質的に脱退の自由が保障されていない

法人の目的の犯意を判断するに当たっては

思想・信条の自由との関係で次のような配慮が必要である。

政治団体への金員の寄付は

選挙における投票の自由と表裏をなすもの

個人的な政治的思想、見解、判断に基づいて自主的に決定すべき事項

公的な性格を有する法人が

多数決の原理をもって、団体の意思として決定し、構成員にその協力を義務づけることはできない。

 

被災した司法書士会及び同会所属の司法書士個人への物理的被害に対する直接的な金銭補填ではなく、被災者の相談活動を行う司法書士会ないしこれに従事する司法書士の業務の円滑な遂行による公的機能の回復に資する。

金額についても、評価当てはめしている。

 

 

 

君が代起立斉唱事件

個人の歴史観世界観は多種多様であり、それが内心にとどまらず、それに由来する行動の実行及び拒否という外部行動として表れ、当該外部行動が社会一般の規範と抵触する場面で制限を受けることがある。

その制限が必要かつ合理的なものである場合

その制限を介して生ずる上記の間接的な制約も許容されうる。

 

 

憲法19条

思想・良心

個人の社会観・世界観

君が代

アジア侵略

戦前の軍国主義

反対

起立拒否

斉唱拒否

歴史観世界観と一体しか、不可分となっており、原告の思想良心の自由を直接的に制約する。

反論

歴史観世界観から導き出される外部行動は必ずしもひとつではなく、ただちにそれが起立拒否の行動になるとはいえないので、原告の起立拒否斉唱拒否をもって処分をしたことは直接的な制約とはいえない。

また、起立斉唱する行為は原告の思想良心そのものを否定したものではなく、全職員に課された職務上の義務であり、狙い撃ち的に思想良心に基づく行為について不利益処分を行ったわけではない。

どこの学校でも行われたいた。

周知の事実

一般的客観的慣例的な儀礼的所作であり、また、そのような所作として外部からも認識されていた。

したがって、上記の起立斉唱行為は原告の歴史観世界観を否定することと不可分に結びつくとはいえず、否定するとはいえない。

確かに、起立斉唱行為の側面には、国旗国歌に対する敬意の表明要素を含むとして評価しうる。そうすると、自らの世界観歴史観で否定的な評価対象となる君が代日の丸に敬意を表することはその行為が個人の歴史観ないし世界観に反する特定思想の表明にかかる行為そのものとはいえないとしても、個人の歴史観(敬意に表明拒否)と外部行為(敬意要素)を求められることとなり

そのものの思想良心の自由を間接的に制約する部分があるとはいえる。

したがって、本件命令は及び処分は原告の思想良心の自由を間接的に制約するものと言える。

 

その命令は必要かつ合理的なものでなければならない。

公務員 全体の奉仕者

法令及び上司の職務命令に従うこと

式典における儀礼的行事の意義あり方

生徒への配慮

円滑な式典の進行

総合考量すれば、上記制約を許容しうる程度の必要性及び合理性が認められる。

 

憲法20条

信教、宗教 超自然的超人的本質の存在を確信し、畏敬崇拝する心情と行為

個人、集団的宗教を問わない

内心の自由の中でも宗教に関する精神活動は歴史的に侵害されてきた特に保障する必要がある。

 

信仰の自由 宗教的行為の自由 宗教的結社の自由

政教分離

直接的規制

宗教一般をないし特定の宗教を信仰することしないことを理由に不利益

違憲

宗教を規制することを目的としない規制が結果的に宗教を信仰するものを対して負担を課すこととなる場合は正当事由必要。

 

剣道不受講事件

被上告人の信仰の核心的部分と密接に関連する真摯なもの

 

原級留置

退学処分

不利益が極めて大きい

本件各処分はそれ自体において信仰上の協議に反する行動を命じたものでなく、その意味では信教の自由を直接制約するものとはいえない。

 

宗教法人の解散命令の制度は法令違反著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為や宗教団体の目的を著しく逸脱した行為

宗教団体としての実体を欠くに至ったような場合

 

信者は法人格を有しない宗教団体を存続させ、あるいは新たに結成することが妨げられるわけでなく、

宗教上の行為、その用に供する施設や物品を新たに調えることが妨げられるわけではない。

禁止命令は信者の宗教上の行為を禁止制限したり、する法的効果を一切伴わない。

解散命令が確定したときはその清算手続が行われその結果宗教法人に帰属する財産で宗教上の行為の用に供していたものが処分されることになり、それを用いて信者が行っていた宗教的行為の係属に何らかの支障を生ずることはあり得る。このように、宗教法人に対する法的規制が宗教上の行為を法的規制することはなくても、何らかの形で支障を生じさえることはあるならば、憲法の保障する精神的自由の一つとしての信教の自由の重要性に思いをいたし、憲法がそのような規制を許容するか慎重に吟味しなければならない。

 

 

解散命令はもっぱら世俗的

直接制約ではない

処分については事実上の制約

宗教団体への加入を理由とする不利益処遇の禁止

憲法14条1項

 

オウム真理教解散命令 H08/0130

目的 もっぱら世俗的 宗教団体や信者の精神的。宗教的側面をようかいする意図はなく、制度目的も合理的

 

手段が適合か=法人解散について

宗教団体の目的を著しく逸脱する行為があった。

あてはめ

手段が相当か

解散命令は間接的、事実上のもの

信仰活動は継続できる

手続保障

法81条の規定に基づき裁判所の審査を経ている

手続の適正も担保

宗教上の組織若しくは団体

への公金支出

憲法20条1項後段

特権付与の禁止

キーとなる判例

 

 

 

箕面忠魂碑、空知太神社、愛媛玉串料、津地鎮祭

20条1項後段 特権付与禁止

20条3項 宗教活動の禁止

89条前段 公金支出禁止 国家と宗教のかかわりあいが相当とされる限度を超えるか

 

宗教的儀礼が世俗化している

政教分離を徹底することは困難

完全分離を理想

宗教的中立性を確保する

宗教との関わり合いをもたらす行為の目的及び効果に照らし相当とされる限度を超えるものは許されない

宗教ときたら、目的効果基準 津地鎮祭

その行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進、圧迫、干渉になるような行為

これが目的効果基準

ある行為が宗教的活動に該当するかは当該行為の行われる場所、一般人の宗教的評価、意図、目的、意識の有無、一般人に与える効果影響を社会通念に従って客観的に判断する

 

(あ)行為の行われる場所(い)一般人の宗教的評価(う)行為者の意図や宗教的意識(え)行為の一般人に与える効果

 

空知太基準 H220120

国有地 無償 宗教的施設 敷地提供

当該施設の性格、経緯、態様、一般人の評価

社会通念にてらし総合判断

 

目的効果基準と空知太基準

前者は宗教と世俗が同居 優劣が微妙 

例示

公的な立場で寺社に寄進

その目的を国家公安国民の安全

当該宗教を優遇する趣旨ではないといって

宗教的活動ではない

という弁明は許されない

藤田判事

 

空知太は 施設が文化財史跡等の世俗的意義を有するものでなく

一義的に宗教施設であること

そこでの行事は宗教的であることが明らか

 

 

 合格思考 66ページ 

来夏 もっと精細に各科目勉強したい。

そのためには予備一発合格。

 

 共同正犯

共同実行

共同実行の意思の連絡

 

利益原則の観点

先行する窃盗

暴行を加えている事後強盗犯

承継的共同正犯

後行者に先行者の暴行部分について共同正犯が成立するか。

 

共犯の処罰根拠は自らの行為が何らかの形で結果に対して因果性を与えた点

だとすると、すでに発生してしまった結果に対して因果を遡り、処罰を肯定することはできない。

もっとも、後行者が先行者の行為を自己の犯罪行為として利用した範囲においては、その限度において因果性を肯定できるから、さらに共同意思のもと、自己の犯罪の手段として行っていると認めることができるから共同正犯関係が成立する。

 

共犯の処罰根拠は、間接的に法益侵害の結果、又はその危険を発生させること。

 

いまは難!

 

窃盗の部分は身分であると解する。

かように解すれば、窃盗がと犯罪主体について規定した事後強盗の条文の文言と整合する。

本罪は真正身分犯か不真正身分犯か。

窃盗の身分のないものが実行行為をすれば暴行脅迫罪となる。

暴行脅迫と事後強盗とでは保護法益が異なる。

本罪を暴行脅迫の加重類型と解することはできないから、真正身分犯と解する。

よって窃盗の身分を有しない丙の罪責は65条によって処理される。

65条はその文言から構成すべき(1項)、刑の軽重(2項)と定め1項が真正身分犯の成立と科刑、2項が不真正身分犯の成立と科刑を定めている。

同条1項の共犯には共同正犯も含まれると解する。

被身分者も身分者を通じて身分犯の法益を侵害することが可能だからである。

よって65条1項により事後強盗の暴行にのみ加功したものも事後強盗と罪責を負う。

 

 憲法21条

表現の自由

情報流通の全過程を保障する自由

情報提供の自由

情報受領の自由

情報収集の自由

政府情報開示請求権

 

真理への到達が思想の自由市場によって可能になる。

表現の自由が民主主義的自己統治にとって不可欠である

表現の自由は個人の自律、自己実現、自己決定の本質的要素

言論規制の領域における政府の能力に対する不信から、表現の自由は規制されるべきではない。

情報の中から自由な意思をもって自己が正当と信ずるものを採用することにより、多数意見が形成されかかる過程を通じて国政が決定される

各人が個人として自己の思想及人格を形成、発展させる。

 

 

内容規制

内容に含まれる特定のメッセージを世の中から排除することで思想の自由市場が大きくゆがめられる

見解規制 

特定の内容の見解が規制されることで

民主政の過程に顕出されず、民主政の過程を機能させなくする

表現内容が事態が国家に不当なものであると評価されてしまえば

当該表現を主張したいものの人格価値を毀損する恐れが大きい

内容がもたらす弊害の認定は公権力の恣意が働きやすい

 

内容中立規制

メッセージを運ぶ行為形態のうち特定のものを規制しても、メッセージそのものを自由市場から排除するわけではなく、

特定の内容が民主政の過程に顕出されないことにならず、

内容とは無関係に外形的行為のもたらす弊害に着目した規制であり

表現内容自体が国家によって不当と評価されたことにならず、

人格価値の毀損の恐れも小さく

外形的行為のもたらす弊害の有無は客観的判断になじみやすいから、公権力の恣意が働きにくい

 

 

情報提供の自由

憲法21条2項

検閲

絶対禁止

行政権が主体となって思想内容の表現物を審査対象とし

その全部又は一部を発表の禁止を目的として

対象とされる一定の表現物につき網羅一般的に発表前にその内容を審査した上で不適法と認めるものの発表を禁止する

 

わいせつ

徒に性欲を興奮刺激しかつ普通人の正常な政敵羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの

 

 

営利的表現 情報の伝達

自己実現のための情報収集に資する

謝った判断をさせるものをのぞき憲法21条1項で保障

営利的言論は

個人の自律の本質的要素ではなく

自己統治の価値もない

営利的言論は表現内容が真実か否か検証しやすい

政府の規制権限が濫用されにくい

厳格な合理性

 

報道の自由

知る権利に奉仕

国民が国政に関与するにつき重要な判断の資料を提供する

事実報道の自由憲法21条1項のその他一切の表現として保障される。

 

プライバシー権

名誉侵害的表現

 

事前抑制たる性質上予測に基づくものとならざるをえないこと

事後制裁よりも広汎にわたりやすく、濫用の恐れがある

表現行為の対する事前抑制は

憲法21条の趣旨に照らし厳格かつ明確な要件の下においてのみ許される。

 

その対象が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判である場合

公共の利害に関する事項

その表現が私人の名誉権に優先する社会的価値を含み憲法上特に保護されるべきであることを鑑みると、事前抑制は原則許されない

右のような場合でも

その表現内容が真実でなく、もっぱら公益を図る目的でないことが明白であって、かつ被害者に重大にして著しく回復困難な損害を被る恐れがあるときは

その表現行為はその価値が被害者の名誉に劣後することが明らかであり

その有効適切な救済方法としての差し止めの必要性も肯定できる。

 

 

 

侵害行為の差し止め

侵害行為が明らかに予想

被害者が重大な損害を受ける恐れがあり

その回復を事後に図るのが不可能ないし著しく困難

 

名誉は社会的評価

事後的に評価を回復することが可能

プライバシー権は一度公開されてしまうとそれによって生じたプライバシー侵害を回復することは非常に困難

プライバシーは極めて重大な保護法益であり、人格権としてのプライバシー権は物権の場合と同様に排他性を有する権利として侵害行為を差し止めることができる。 H160331 東京高判

 

猿払事件 

表現の自由は 民主主義国家の政治的基盤をなし

国民の基本的人権のうちでとりわけ重要

およそ政治的行為は、行動の面をもつから

政治的意見の表明の面もあり

その限りにおいて憲法21条の保障をうける

 

 

 

公務員の政治的行為の禁止

禁止の目的

禁止されることにより得られる利益

失われる利益

目的と禁止行為の関連性

 

公務員の政治的中立性を損なう恐れのある類型にぞくする政治的行為

意見表明そのものの制約を狙いとするのでなく、その行動のもたらす弊害防止のための禁止は

同時に意見表明の自由が制約されることになるが、

それは行動の禁止に伴う間接的、付随的な制約に過ぎず、意見表明をする自由までを制約するものではない。

 

堀越事件

政治的行為とは

公務員の職務の遂行の政治的中立性を、損なうおそれが

観念的なものにとどまらず、現実的に起こりうるものとして実質的に

認められるもの

 

戸別訪問禁止事件

戸別訪問の禁止は意見表明そのものの制約を目的とするのではなく

意見表明の手段方法のもたらす弊害の防止

内容着目規制よって、厳格審査

いや、内容中立規制 中間審査

厳格          不可欠目的 必要最小限

厳格な合理性(中立)  重要目的  実質的関連

合理          正当目的  合理的関連

 

立川ビラ投函事件

ビラの配布は表現の自由

一般公衆が自由に出入りすることができる場所においてビラ配布

自己の主張や意見を他人に伝達することは表現の自由の行使のための手段として軽視できない。

 

 

表現の場を確保することが重要な意味をもつ。

特に表現の自由の行使が行動を伴うときは

表現のための物理的な場所が必要となる。

この場所が提供されないとき、多くの意見は受け手に伝達することができない。

よって

一般公衆が自由に出入りすることができる場所は

それぞれの場所が本来の利用目的を備えているが、

それは同時に表現の場として役立つことが少なくない。

道路、公園、広場など。

これをパブリックフォーラムと呼ぶことができる。

これらパブリックフォーラムが表現の場所として用いられるとき

所有権や本来の利用目的のための管理権に基づく制約に服するとしても、その機能に鑑み、表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

立川ビラ投函事件

表現の手段として

人の看守する邸宅に管理権者の承諾なしに立ち入ったことが憲法適合性が問われている。

 

情報受領の自由

レペタ事件

各人が自由にさまざま意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会をもつことはそのものが個人として自己の思想及び人格を形成し、発展、社会生活に反映させていく上に置いてかくことのできないものであり

民主主義社会における思想情報の自由な伝達交流の確保という基本的原理を真に実効あらしめる必要があり、このような情報に接し、摂取する自由はその派生原理として当然導かれる。

 

よど号ハイジャック事件

情報受領は自己の人格的形成の基礎であり、個人の政治的決定の源泉たる知識を得る機会を確保

パターナリズムの観点からの規制

よろしくない表現

国家が表現価値を設定していることになる。

国家の思想的中立性に反する

個人の自律、自己実現を阻害

厳格審査

当該情報の摂取の禁止が

当該情報の害悪ではなく、受領行為から生じる害悪に着目していると認定できれば、厳格な合理性(中間)審査

 

青少年は一般に精神的未熟であり、選別能力を十分有していない

成人同等の知る自由を保障される前提を欠く。

青少年の健全な育成に有害

すでに社会共通の認識

 

博多駅テレビフィルム事件

報道機関の報道の自由は民主主義社会における国民が国政に関与するにつき重要な判断資料を提供し、国民の知る権利に奉仕する。

 

従って思想の表明の自由に並んで。事実の報道の自由表現の自由を規定した憲法21条の保障のもとにある。

正しい報道のための取材の自由も憲法21条の精神に照らし十分尊重

NHK記者証言拒否事件

取材源の秘密は取材の自由を確保するために必要な重要な社会的価値を有する。

 

 

公正な刑事裁判の実現のために、取材の自由が制約されること

公正な刑事裁判を実現することは国家基本の要請であり、刑事裁判では

実体的真実発見が強く要請される。

このために報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要とされる場合、取材の自由がある程度制約を蒙ることととなってもやむを得ない。しかし

このような場面においても

証拠の価値 公正な刑事裁判の実現 報道機関の取材の自由の 報道の自由への影響 比較衡量して決定すべきであり、刑事裁判の証拠として使用することがやむを得ないと認められる場合においても、報道機関の不利益が必要な限度を超えないように配慮されなければならない。

 

西山記者事件

報道機関

取材

その手段方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものをこえる

社会観念上是認されるものであるかぎり実質的に違法性を欠き

正当な業務行為

 

合格思考82ページまで

 強制処分

個人の意思を制圧し、身体住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段

写真撮影

捜査官が五官の作用により対象の形状を認識するものとして検証にあたる。

公道における写真撮影

被撮影者はみだりに容貌等を撮影されない自由を有している

プライバシー 権利利益

無断で写真撮影することで、上記権利利益が制約されている。

公道等の開かれた場所では他人から観察されること自体が甘受されなければならず、プライバシーに対する合理的な保護の程度は下がる。

そうすると、かかる場所での写真撮影の場合、被撮影者のプライバシーに対する期待は減少しているから、公道と同視できる場所での撮影公道から見える範囲での撮影にとどまる場合は、被撮影者の重要な権利利益を制約するものとはいえない。

写真撮影が任意処分だとしても、権利利益を制約するものである以上、常に許容されるわけではない。

現に犯罪が行われ若しくは行われた後まがないと認められる場合であって、しかも証拠保全及び緊急性があり、その撮影方法が一般的に許容される限度を超えない相当な方法でもって行われたときに許容できる。

 

本件写真撮影は無令状でなされている

本件写真撮影は犯人特定のため

捜査機関が五官の作用をもって対象を認識する検証としての性質を有するので、本件写真撮影は強制処分(法197条1項ただし書)に当たる場合

検証令状(218条1項)を欠き、違法となる

そこで、本件写真撮影が強制処分にあたるか。以下検討する。

強制処分と任意処分の区別

(1)197条1項ただし書にいう「強制処分」とは、個人の意思を制圧し、身体住居財産等の重要な権利に制約を加える行為を言う。

(2)本問において、甲と乙は甲宅から路上に出てきたところを望遠レンズを装着したカメラで撮影されている。たしかに、犯人特定のため写真撮影には被撮影者のみだりに容ぼう等を撮影されない自由であるところのプライバシーという重要な権利利益の制約を伴う。

しかし

公道等の開かれた場所での行われた場合には被撮影者のプライバシーに対する期待は減少している。

またそのような場所では他人から容ぼう等を観察されること自体は甘受しなければならないし、プライバシーに対する合理的な保護の程度は低下している。

したがって、

公道と同視できる場所での撮影や公道から見える範囲でなされた撮影にとどまる場合は、被撮影者の重要な権利利益を制約するものではないと解する。

 

本問において

甲及び乙が撮影されたのは甲宅から路上に出てきたところであり、公道において撮影されたものといえるから、甲及び乙の重要な権利利益は制約されていない。以上より、本件撮影は強制処分にあたらない。

任意処分の限界

(1)強制処分にあたらないとしても、みだりに容ぼう等を撮影されない自由に対する制約がある以上、任意処分として当然許容されるわけではない。嫌疑の程度、ビデオ撮影を行う必要性、被侵害法益の性質、程度を考慮して必要な範囲において相当な方法で行う必要がある。

甲を対象とする写真撮影について

本問において甲には集団による連続強盗事件の犯行グループの一員である疑いが濃厚であり、甲を犯人と疑う合理的な理由が高度に認められる。

また、本件は連続強盗という重大事案である。

さらに、連続強盗であるから、今後同様な事件が再発する危険性があり、甲の容ぼうを撮影のうえ、被害者等に甲が犯人であるか否かを確認する必要性が高度に認められる。

そして

撮影方法は甲宅の向かいのビルの一室に望遠レンズ月カメラを設置して甲宅の出入り口を監視した上で撮影するというものである。甲宅の中でなく甲が路上に出たところを撮影しているのにとどまることから、甲の生活の平穏を乱すようなものでなく、手段としても相当性が認められる。

以上より

甲を対象とする写真撮影は任意処分の限界を超えておらず適法である。

乙を対象とする写真撮影

確かに甲の場合と異なり、捜査機関は乙が犯行グループの一員であるという情報を事前に得ていたわけではない。しかし、

本件犯行グループによる犯行であり、甲の他にも犯行に関与したものがいることや嫌疑が濃厚である甲の自宅に出入りしていることからすると、乙が本件犯行に関与していると疑うに足りる理由が相当程度あると言える

そして

前述どおり本件は連続強盗という重大事案であり、今後同様の事件が再発する危険性が高く、乙の容ぼうを撮影の上、被害者等に乙が犯人であるか否かを確認する高度の必要性が認められる。

以上より

乙を対象とする写真撮影は任意処分の限界を超えておらず適法である。