刑法予備H30

このレベルなら書けるようになる。仕事をしながらということを考えると、過去問、エンシュウ本、予備シケタイ、民訴はロープラ、行政法は実戦演習、刑訴はエクササイズ、といった+1に絞った教材で予備は乗り切る。

論パタの条解を聴く時間もないのだから。

 

刑法H12

 

私文書偽造のあとに、

それをファックスしたり、コピーしたりした場合

それは新たな偽造になるので、絶対落とさない。

セットで考える。

絵で把握したほうがいいかも。

 

立て方

Nによる捜索差押えは適法か。

捜索差押えは被処分者のプライバシーや財産権という重要な権利を侵害制約するものであるから、憲法35条の令状主義に服し、裁判官による厳格審査の下行うことが原則である。(刑訴218条)

そこで、①正当事由②捜索場所・押収物の明示③司法官憲による各別の令状(同条2項)が要件となる。

正当事由とは、特定の犯罪の嫌疑が存在し、それと関連する差押え対象物につき、捜索の場所に存在する蓋然性を要求する。

そして、恣意的な権限行使を防止するために②対象の明示③令状審査発付手続の履行が要求される

本件では、令状記載の程度、令状の効力の及ぶ範囲及び捜索差押えの態様が問題となる。

令状の記載としてどこまで明示・特定されていなければならないか。

憲法35条は捜索差押令状に適用法条を示して記載すること要求しておらず、捜索する場所、押収物以外の記載事項は刑事訴訟法の規定によるところ、刑訴219条により適用法条まで示す必要はないと解する。また、捜索する場所の記載は事件に関係すると示された範囲が合理的な範囲であれば、礼状の記載として適法と解する。

本件では、 会社法違反とのみ記載されているが、請求の際に、裁判官に対して、具体的な被疑事実が示されているので、適用法条の記載がないことをもって違法となることはない。

また捜索すべき場所が 本店ビルとやや広範囲ではあるが、場所も管理権も同一のもとにあると解されるので、これもただちに違法の評価は受けないと解する。

また、差し押さえるべき物についても、 等という記載が用いられているので、具体的な例示物と関連すると社会通念上思われる物についてであれば適法と解する。また、等の中に、性質を異にするパソコンなどがあっても、現代社会では文書の作成保管はパソコンなどの電子機器を通してされることが多いという事実を鑑みれば、特別背任事件との関連性のある文書が保管保存されている可能性は高く、差し押さえるべき物といえると解する。

さらに、融資稟議書や取締役議事録等については、当該文書のどの部分が本件特別背任事件に関連するか即座に判断できるものでない以上、その場で解析して判断して選択することで、ご判断により差押えを免れた文書に証拠となる文書が存在することもありうるから、全体として差し押さをするのもやむを得ないと解する。

 

では、Nらが秘書乙の所持していたアタッシュケースを捜索した点はどうか。

特定の場所に対する捜索差押令状で物の捜索ができるか。

身体と異なり、物のプライバシーはその物が通常存在する場所のプライバシーに含まれると解する。よって、場所に対する捜索差押令状があれば、物の捜索も可能である。本件でも、本店ビルに対する差押許可状が発付されているので、9階フロアに存在していたアタッシュケースについては、乙が右手に持っていても捜索が可能であると解される。

Nらが、乙の右手からアタッシュケースをもぎ取り、ドライバーで鍵をこじ開けている点が必要な処分と言えるか。

捜索差押処分の実効性を確保して、本来目的達成に必要な処分として、対象者に及ぼす法益侵害と合理的に権衡する相当な態様の付随的措置といえるかが問題となる。

Nらは乙に引渡しと中を見せることを要求して、それに対して拒絶と沈黙という乙の対応を見てから行っているので、捜索差押の実効性の確保の見地からはなお相当の範囲と解する。

それでは、乙が使用している机の引き出しについての捜索はどうか。

乙の使用する机の引き出しの中まで、捜索差押許可令状の効力が及ぶかだが、本件では、捜索差押許可令状の捜索する場所はN銀行本店ビルなので、N銀行の管理支配権が及ぶ物にはすべて捜索差押が可能と解する。

 

伝聞

融資稟議書や取締役議事録

公判廷外の供述を内容とするもので、要証事実との関係(立証趣旨)でその真実性が問題となるかについては、要証事実をどのように考えるかによる。

まず、検察官が本件融資を甲が承認した事実、本件融資を甲が主導した事実とした場合、当該文書はその記載の内容性の真実性が問題となるから、伝聞証拠となる。

それでは、伝聞例外にあたるか。

323条2号、商業帳簿とは、金選出納帳、仕入帳、売上帳などを差し、融資稟議書や取締役議事録等はこrねい当たらず、通常の業務の過程で作成された書面(2号)、または特に信用すべき状況の下に作成された書面(3号)といえるかがであるが、

このうち、業務の通常の過程で作成された文書は、業務遂行の基礎として信用保持の観点から正確に記載、かつ規則的に機械的、連続的に作成されるので虚偽が入り込みにくいため(1)、無条件で証拠能力が付与されている。また、絶対的特信情況文書についても、無条件で証拠能力が付与されるものとsちえ、同条1号2号に準ずる高度の信用性が必要となるl。

 

これを本件でみると、融資稟議書や取締役議事録等は銀行における基幹業務である貸し付けに関する書面であり、そのために上記1の性質があるといえる。また、取締役会議事録につては、会社法369条3項により法律上作成義務があり、議事内容に高度の信用性があると解することもできる。

しかし、本件では、検察官が本件融資が会社に損害を与えるものであったと主張しているために、その融資の過程を表す融資稟議書や取締役議事録等については、本来融資をしてはならない融資を承認する判断の基礎となった稟議書であり、承認過程と結果を示す議事録であるから、無条件に証拠能力を認めることとなく、その信用性について慎重にあるべきと解する。

323条に基づく伝聞例外該当性を否定して、およそ本件書面の証拠能力は、322条の被告人の供述書として伝聞例外の適用を考慮することも可能ではあるが、本件では321条1項3号の要件を満たすためには、全員について供述不能要件を満たすことは通常ありえないから、むしろ、非供述証拠として証拠能力を肯定すべきだと解する。

すなわち、立証趣旨を「本件融資に関連する書面の存在、記載内容」とすれば内容の真実性に踏み込まずに、本件との関連性はあきらかであるからあ、証拠能力は肯定される。

すなわち、融資稟議書や取締役議事録等の存在、記載内容から、甲が頭取として本件融資に関与したことやその稟議書承認経過を推認するにとどめる。

 

 

一度裁量基準を定めたら、その基準には相手方の信頼が生じ、そのような基準に則ってなされる処分には平等原則が適用されることになる。そのため、行政庁が最良基準を定めている場合は、当該行政庁が基準の定めと異なる取り扱いをするならば、裁量権の行使における公正、かつ平等な取り扱いの要請や基準の内容にかかる相手方の信頼を保護等の観点から、当該処分基準の定めと異なる取り扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限りそのような取り扱いは裁量権の範囲の逸脱又濫用にあある。