刑法から
間接正犯とは、他人を道具として利用して犯罪を実行する場合をいう。
直接正犯と同様に扱われる根拠は
他人を利用する行為に直接正犯と実質的に異ならない実行行為性が認められる。
実行行為とは、構成要件的結果を発生させる現実的危険性を有する行為で、間接正犯でも、①他人を道具として自己の犯罪を実現する意思があり、②他人を一方的に支配利用し、構成要件を実現する現実的危険性を生じさせれば、実行行為性が認められる。
実行行為と結果との間にAの過失行為が介在しているため、因果関係が認められるか。
因果関係とは、社会通念上偶発した結果を刑法的評価から除去し、処罰の適性を図るものである。
そこで、行為の危険が現実化したと言える場合には因果関係があるといえる。
甲がXを殺害するという認識がある一方で、乙にはXが聴力を失うという傷害の認識しかないので、共同正犯間の認識のずれがあっても、共同正犯が成立するのか。
共同正犯が一部実行全部責任を負わせる根拠は、各共同正犯が共同実行の意思の下、相互に利用補充関係にあり、犯罪を実行する点にある。
かかる相互利用補充関係互いに同一の実行行為を共同する場合に生じる。
共同正犯は特定の犯罪の実行行為を共同すると解されるから、各共同正犯間に認識のずれが生じる場合は、通常共同正犯は成立しないと解される。
もっとも、認識のずれが生じても、その認識が重なりあう限度で前述の相互利用補充関係が認められるので、構成要件的に重なり合う限度で共同正犯が成立すると解する。
構成要件の重なり合いは、保護法益と行為態様の重なり考慮して判断すうる。
殺人・・・人の生命の安全 傷害・・・人の身体の安全
行為態様は 人の身体に危害で共通
よって、傷害の限度で共同正犯が成立する。
本件では、Xは投薬によって死亡しているので、乙にはさらに傷害致死の共同正犯にならないか。
結果的加重犯の共同正犯は成立するか。
結果的加重犯は基本犯の中に重い結果発生の高度の蓋然性が内在する犯罪類型
基本犯に共同正犯が成立していれば、因果関係を有する重い結果についても共同正犯を認めることも責任主義に反しない。
因果関係あり・・特異体質 ありうる
実行行為者自身の行為が死亡結果に介在しているが、
死因は頭部の傷害であり、実行行為者のナイフの柄による暴行がAの死亡結果の決定的な原因を作り出していることにかわりがない。
また、誰も発見できない茂みにAを運び込んだことが、Aの救命可能性を奪っている。
介在事情の存在は甲の暴行の危険性がAの死亡結果に向けて現実化したことを妨げない。
保護義務の有無は条理、法理、事務管理、契約
自身の先行行為による暴行でAを失神させて行動不能 条理上の保護義務
甲以外にだれもAを保護できるものがいない。
Aの生命身体の利益は甲に排他的に依存している。
遺棄とは、場所的隔離を生じさせることにより、要扶助者を保護のない状態におくこと。
あてはめ
もっとも、死んだと考え行動しているので、死体遺棄の故意があったと似すぎない。
この場合、軽い罪の故意で重い罪を行ったので、38条2項により
保護責任者遺棄罪の成立は認められない。
そこで、死体遺棄罪(190条)は成立しないか。
38条2項により構成要件の修正を認め、構成要件の重なりがある限度で軽い罪の構成要件該当性が認められると化しうる。
重なり合いは行為態様と保護法益から判断する。
行為態様
前者の保護法益 人の生命身体 後者 国民の宗教感情
重なりがないので、成立しない。
承継的共同正犯
後行者が関与前に生じている先行者の行為を認識してこれを自己の犯罪として積極的に利用している場合には、犯罪結果として因果的寄与がある。
このような場合は共同正犯が成立して、関与前の行為を含めて罪責を問える。
乙はそれまでのすべての事情を了解 先行者の行為を認識
先行者行が生じさせた反抗抑圧状態を利用して、一緒に懐中から金品を奪った
自己の犯罪として積極的に利用
死亡については利用関係がない
強盗の限度で共同正犯
確認の利益
(1)確認訴訟の手段としての適切性
貸金の返還について争いがある場合は、
貸金返還請求訴訟が第1選択肢
理由、 既判力、執行力
確認訴訟では債権の存在について既判力が生じるにとどまる。
任意履行がない場合、改めて債務名義を得るために給付訴訟を提起することになる。
被告に応訴の負担
確認訴訟の補充性
(2)確認対象の適切性
原則、現在の権利関係ないし法的地位
過去の権利関係法的地位を確認しても、現時点までに変更があることも多く、現在の法的紛争解決のとり有益でない。他~
過去の法的地位、権利関係でもそれが現在の法律関係の基礎となっていたり、確認判決により権利関係が確定されることがそこから派生する様々な紛争を包括的に解決できる場合は確認対象として認められる。
遺産確認訴訟でも
特定財産が遺産に帰属するか否かが確認対象であるが、
当該財産がかつて被相続人の財産に属していたか否かの判断と解するならば、過去の法律関係を対象とすることになる。
現時点で当該財産が分割前の相続財産として相続人の共有に属することを対象とするのだから、現在の法律関係であるとして、確認対象の適切性がある。
(3)即時確定の利益
原告の具体的な法律上の地位や権利利益が被告により否認され、原告の権利関係法的地位に現時点で不安危険が生じており、確認訴訟で即時に解決するにふさわしい程度に紛争が成熟していることが必要
遺言の有効性判断が相続人の法的地位権利関係の基礎となり、実体上分割前の遺産について、相続人の共有関係が成立することを前提とすると、遺言無効確認訴訟は相続人全員に合一確定をもたらすべく、必要的共同訴訟である。